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イントロダクション

「絶望の先に、光を創った男」

── 社会福祉事業家・高江 常男 物語

吹雪の夜、真っ白な雪原にひとりの青年が立っていた。
17歳、感電事故で両腕を失った青年──高江常男。
かつて、夢も希望も、未来も、すべてが一瞬で焼き尽くされた。
しかしその夜、彼の心の奥に、確かに小さな“光”がともった。

「自分の人生を、誰かの希望に変えよう。」

彼は口にペンをくわえ、震える文字で人生を綴り始めた。
やがて新聞記者として働き、障がい者が差別され、働く場さえ奪われる現実と出会う。
そのとき、高江は心に誓った──
「障がいがあっても、人は誇りを持って働ける社会をつくる」と。

1956年、北海道赤平の炭鉱の町に、小さなクリーニング工場が誕生する。
そこが、後の「北海道光生舎」だ。
彼は自らも障がいを抱えながら、仲間と共に働き、笑い、挑戦した。
“福祉”を「保護」ではなく「誇り」に変えたその姿に、多くの人が勇気をもらった。

「障害を売り物にするな。仕事は、品質と誠実さで勝負だ。」
それが高江の信念だった。

彼の手はもう動かない。
けれど、彼の創った“光”は、今も北海道の大地に息づいている。
600人を超える仲間たちが、汗を流し、笑い合い、社会の一員として生きる場所。
それが、彼の人生が照らした希望の証──北海道光生舎。

絶望の中で見出した“働く尊厳”を信じ、
人の可能性を信じ抜いた一人の男がいた。

彼の名は、高江 常男。
その生涯は、まさに「生きることの意味」を問う、永遠の灯である。